植物性タンパク質で脳梗塞が、動物性タンパク質で脳出血が減少する

久山町住民2,587人(データ解析は2,400人)を対象として、食事中からのタンパク摂取量と脳卒中発症リスクの関係が、19年の追跡調査において明らかとなりました[Ref. 1] 。食事については70項目半定量的食物摂取質問表を用いています。植物性タンパク質が最も…

精製されてない炭水化物は健康に良い(のか?)

最近のメタアナリシスでは、無精白の炭水化物を多く摂取すると全死亡率、心血管系疾患による死亡率(相対危険度0.82、95%信頼区間0.79 –0.85)、癌による死亡率が低下することが示されています[Ref. 1] 。津川さんの本に書かれているように「白い炭水化物」…

海馬の萎縮と認知症

認知症は治療も予防もできないと考えられてきましたが、最近は「9因子の制御により認知症の35%は予防可能である」というように、予防を重視するようになってきています。アルツハイマー病で最も早期に萎縮する脳の領域は海馬であり、「海馬の萎縮」を手がか…

疲れた脳の休め方

マインドフルネス [注1] 瞑想が「脳の休息法」として注目されています。意識的な活動をしていないとき(何もせずにぼんやりしているとき)に働く、いくつかの脳領域—後帯状皮質や内側前頭前皮質など—からなるデフォルト•モード•ネットワークは(何もしてな…

心房細動による認知症は脳の微小塞栓によるらしい

心房細動は高齢者では最もよくある不整脈で、60歳以下で1%、80歳以上で8%にあると言われています。心房細動は脳卒中の強力な発症危険因子ですが、心房細動があると認知症のリスクも増大することが最近注目されています。心房細動による認知症発症の理由とし…

脳の健康に良いのは魚か肉か?

オーストラリアでの研究では、「不健康な」西洋の食事、つまり飽和脂肪酸(肉に多い脂)と精製した炭水化物(糖質)が多い食事では海馬(左)の容積が減少していました(年齢、性別、教育歴、うつ症状、身体活動度、血管危険因子で調節した多変量解析による…

タバコは本数が少なくても危険!

有名な久山町研究では「喫煙は脳卒中のリスクを下げる」と聞いたことがあります。脳卒中になる前に(なることもできずに)肺がんや心筋梗塞で死んでしまうからというこのとのようです [注1] 。 55の論文(141のコホート研究)のメタアナリシス [Ref. 1] に…

脳の健康のためになすべきこと

◆高血圧のコントロール 家庭血圧を測りましょう! ◆減塩、減塩、減塩 ◆健康的な食事 例えば地中海食、緩やかな糖質制限食、朝カレー ◆適切な睡眠 寝る時間より「起きる時間」を決める ◆運動、筋トレ、脳を働かせよう! 健康的な生活習慣の結果として脳が健康…

カレーは脳の健康に良いのか?

多数例の前向き観察研究からは、唐辛子(特に生の)により総死亡率と特定疾患(癌や虚血性心疾患、呼吸器疾患)による死亡が減少するということです。それならカレーも健康に良いのではと—直感的に—思うわけですが、カレー粉の成分であるクルクミンを腸から…

耳が遠いと認知症になりやすい!

難聴があると軽度認知障害のリスクは1.30、認知症のリスクは2.39と有意に高い相対危険度となります(メタアナリシスの結果です) [Ref. 1] 。認知症の発症危険因子として、難聴は非常に注目されるようになってきています。(難聴が認知症につながる機序とし…

認知症発症におけるマタイ効果—社会経済的不均衡

社会経済状況(収入や教育)における格差は、脳卒中や認知症といった「脳の健康」にも悪影響を及ぼしていて、一種の「マタイ効果」—持てる者はさらに与えられ、持たざる者は(そのわずかな)所有物をも奪われる—と言えるのではないでしょうか。 受けた教育や…

スパイスは長生きの素

これまでに(2015年までに)分かっていること—スパイスとその主要活性物質が健康に良いことが実験や小規模の集団を対象とした研究で報告されています。スパイス消費量と死亡率に関する前向き試験は(その時点で [注1] )ありませんでした。 中国で行われた…

「脳の健康」の最適化について

健康で長生きするためには脳の働きが保たれていること—脳の健康状態が良いこと—が必須です。健康な脳とは、まず血管性病変や変性疾患—脳卒中やアルツハイマー病など—がない状態でしょう。高血圧や糖尿病、肥満、身体活動度低下、喫煙、うつなどの危険因子が…

サウナは認知症を予防する!?

伝統的なフィンランドのサウナは、80〜100℃と高温で、湿度は10〜20%と乾燥していて、時に熱した岩に水をかけて湿度を上昇させるといったものです。サウナに頻回に入るヒトには心臓突然死や死亡に至る虚血性心疾患と心血管系疾患が少ないことが報告されていま…

主観的なもの忘れ—認知症の「最初の一歩」なのか?

最近のメタアナリシスから「主観的なもの忘れがある健常高齢者の25%は4年以内にアルツハイマー病がらみの軽度認知障害となり、認知症となるリスクも2倍」と報告されています [Ref. 1] 。「主観的なもの忘れ」がある認知機能正常な高齢者の脳の中では何が起…

有酸素運動によって海馬が大きくなり、記憶力は改善する

「体を動かすと認知機能が改善し、認知症になりにくい」ことが多くの観察研究から示唆されています。より因果関係をはっきりさせるためにランダム化比較試験も行われています。しかしながら、「身体活動は認知機能低下やアルツハイマー型認知症を予防するか…

店頭で売られているサプリは認知症を予防するか?

結論—全く効果はない。以上! もう少し丁寧に語ってみると、最新の系統的文献検索(システマテイックレビュー)[Ref. 1] によると「店頭で売られているサプリ [注1] は認知機能低下や軽度認知機能低下、アルツハイマー型認知症の予防において ”little or no…

脳トレは有効か?

脳を鍛えるエクササイズ「脳トレ」が認知症を予防するかについては一致した見解はありません [Ref. 1] 。認知症になってしまうと脳トレは効果がないようですが、問題は認知症までいたってない—が、認知症になりそうな—ヒトに脳トレによる予防効果があるか(…

なぜ統計学が最強の学問であるのか?

西内の本 [注1] から盛大に引用します。 なぜ統計学が最強の学問であるのか?その理由は、「人間の制御しうる何物についても、その因果関係 [注2] を分析できるから」であり、この統計学の汎用性は、どのようなことの因果関係も科学的に検証可能なランダム…

飲酒と脳卒中

医学情報のエビデンスを手っ取り早く得るために皆がしているのは、メタアナリシスを探すことです。メタアナリシスは、系統的文献検索(システマテイックレビュー)を定量化したもので、エビデンスレベルは高くなります。もちろん「飲酒と脳卒中」に関しても…

血圧を下げすぎてきつくはないか?

血圧が130/80 mmHg以上なら高血圧とする—と基準は厳しくなってきています。これは脳卒中の既往や糖尿病のない高齢高血圧患者の収縮期血圧を厳格に(120 mmHg以下を目標)コントロールすると、標準治療よりも心血管疾患の発症率や死亡率が低下したというラン…

飲酒は適量でも脳に悪い(良くはない!)

「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度 [注1] —という目安が示されています。しかしながら「適度な飲酒なら脳に良い」とは限りません。 30年という長期間追跡している英国の一般住民の集団から、ランダムに550人(平均年齢43歳、…

副流煙による認知機能障害

ニコチンの代謝産物である(血液中や唾液中、尿中の)コチニンは喫煙者と非喫煙者を判別するもっとも良い指標です。非喫煙者においては、唾液中コチニン濃度は最近の(コチニンの半減期は16-25時間)受動喫煙の程度を反映します。 英国の一般住民からランダ…

コーヒーはヒトの健康にどう影響するのか2

大規模な観察研究から、コーヒーは(明らかに)健康に良い—コーヒー消費量と全死亡もしくは疾患別死亡の減少が相関する—ことが示されていますが、多くは白人での成績です。 多人種/多民族からなる集団 [注1] で、健康—全死亡と疾患別死亡—に及ぼすコーヒー…

コーヒーはヒトの健康にどう影響するのか

コーヒーには健康に良い面と悪い面の両方がある いくら健康に良い面があっても、飲み過ぎは体に毒 どこからが飲み過ぎでどこまでが適量かは人ごとに異なる この三カ条はコーヒーに限らず、健康を考えるときすべてに当てはまる原則 [注1] であろう。 ヨーロ…

受動喫煙によって死亡率はかなり増加する

受動喫煙対策に関する岩田のコメントを盛大に引用する—(屋外まで禁煙にしようという受動喫煙対策失敗の)理由は簡単だ。受動喫煙の健康被害の質の高いエビデンスは屋内での喫煙に関してのみで、その被害は家庭や職場、レストランやバーだからだ。外での喫煙…

睡眠薬を服用すると認知症になる!?

不眠症の治療や抗不安薬としてベンゾジアゼピン系の薬(睡眠薬)が使われることが多かった。高齢者が長期間(不必要に)睡眠薬を服用すると認知症のリスクが高くなると言われているが、一致した見解には達していない。 睡眠薬の使用が認知症の原因となりうる…

認知症は減少している?!

フラミンガム研究では認知症の「発症率」は近年減少傾向を示していた。その理由は明らかではないが、認知症減少は、「高校卒業以上」の教育歴を持つものに限られていた [Ref. 1] 。英国でも認知症有病率の減少が報告されている [Ref. 2] 。 米国の一般住民に…

認知症の危険因子としての食後高血糖

私たちはなぜ空腹(断食)の状態で血液検査を受けるのだろうか?欧州動脈硬化学会と欧州臨床化学・臨床検査連盟は、通常の脂質検査(採血)は空腹時に行なう必要はないというコメントを発表した [Ref. 1] 。その推奨項目はきわめて簡潔な表にまとめられてい…

腎臓と脳と認知機能

腎臓は体内の老廃物を尿として排出する以外にも実に多彩な機能を持ち、「人体ネットワーク」の要の役割を果たしている [注1] 。最近、腎臓は脳の働きにも影響を及ぼすことが明らかとなり、注目されている。 一般住民560人(女性が60%、平均年齢72歳)の脳MR…