地中海食は脳卒中を予防する—観察研究

英国で行われた観察研究でも地中海食の脳卒中予防効果がみとめられています。40歳から79歳までの一般住民23,232人を17.0年間追跡し、地中海食スコア[注1] と脳卒中発症の関連をコックス比例ハザードモデル[注2] により解析しています。その結果、地中海食…

健康的な食事による海馬萎縮の防止

10,308人のコホートからランダムに選択した550人(最終解析は459人)について、半定量的食事質問票により食事の「健康度」を評価し、約11年後の海馬容積をMRIにより定量化しています[Ref. 1] 。食事スコアが1標準偏差「よくなる」毎に海馬容積は92.5 mm3(…

アミロイドβ抗体によるアルツハイマー病の治療

アミロイドはアルツハイマー病が発症するかなり前から脳内に沈着し始め、その後の病気進展のきっかけとなります。したがってアミロイドに対するモノクローナル抗体を投与して、脳内のアミロイドを除去すれば、アルツハイマー病の発症を抑えることができると…

見つけてはいけない

磁気共鳴血管造影による非破裂動脈瘤 [注1]のスクリーニングを一般住民において行なうことは現状では正当化されません。その理由として、(1)一般住民を磁気共鳴血管造影によりスクリーニングすれば約2%に動脈瘤が発見されますが、クモ膜下出血の発症頻度…

家庭血圧測定が役に立つ

近年では高血圧の診断および治療を決定する前に家庭血圧を測定することになっています。治療開始の決定や降圧剤の増減の判断のためには、1日2回、4-7日の家庭血圧測定が必要ですが、長期間の観察には週に1-2回の測定で十分でしょう[Ref. 1] 。家庭血圧は起…

瞑想とヨガと心血管系疾患

まず、アメリカ心臓協会の学術的見解として「瞑想によって心血管系疾患が減少するか」について14ページ(引用文献数131)もの論文[Ref. 1] にまとめてあることに驚きました。「瞑想」だけでこれだけ書くか(書けるのか)!?ということです。様々なタイプの…

ビンスワンガー病について

ビンスワンガー病というのは広汎な白質病変が特徴的で、多発性のラクナ梗塞を伴う血管性認知症の一種です。白質病変とラクナ梗塞の組み合わせということでは、血管性認知症もしくは血管性認知障害の典型的な病型とも言えます。自験例を提示します。この症例…

片頭痛と脳卒中

今年(2018年)6月にサンフランシスコで開催されたアメリカ頭痛学会での片頭痛に関する話題が紹介されています[注1] 。その中には、並存する健康問題からみて片頭痛が明確な8つ亜群に分類できること、ひどい症状の回数や薬の使用過多、慢性の片頭痛、前兆…

飲酒と脳卒中—メタアナリシス

小量から中等量の飲酒(1〜2単位/日、ここでは1単位=エタノール12 g)は心血管系疾患に対して保護的に作用するのではないかという報告がありますが、観察研究から結論を得るのは困難です。適量の飲酒では善玉HDLコレステロールが増加し、インスリン感受性が…

潜在性脳梗塞があると認知症になりやすい(どれだけ?)

脳梗塞(特に脳小血管病によるラクナ梗塞)があっても、脳卒中の症状が出ることは意外と少ないことが知られています。しかしながらこのような小さな病変によって認知機能は障害され、認知症の発症は増加すると考えられています。脳MRIを用いて、多数例を追跡…

アパシーやうつと心筋梗塞、脳卒中、死亡率との関連

高齢者のうつ徴候スケールにある15項目のうち3つがアパシーを代表する。このスケールによって評価されたアパシーと他の12項目によるうつの徴候(診断ではない)が心筋梗塞や脳卒中、死亡率と関連するのかについて解析した報告があります[Ref. 1] 。系統的文…

女性の脳は守られている

出産数が5以上の女性では潜在性脳梗塞が少ないことが観察されています[Ref. 1] 。一般的に女性の脳梗塞の頻度は男性の3分の2くらいですが、潜在性脳梗塞についても同様の結果でした。その理由としては、まず女性では飲酒や喫煙が少ないことがあります(研…

中等度の心血管系疾患リスクに対する血圧とコレステロール低下療法

収縮期血圧が160 mmHg以上なら、臓器障害を伴う高血圧や糖尿病、腎臓病、さらには危険因子を持たないヒトにおいても、降圧療法により心血管系疾患の発症を減らすことができることが分かっています。問題はこれより低い血圧で(だいたい心血管疾患の発症率が…

欠損値解析計画から無くしたものは何?

統計学が最強の学問です。なぜならランダム化比較試験を行なえば「人間の制御しうる何物についても、その因果関係 [注1] を分析できるから」です。ランダム化してしまえば、ランダム化に関わる1要因以外は群間で同じなので、得られた群間の差(結果)の原…

女性はなぜ、男性よりも長生きするのか?

なぜ歳をとるのでしょうか?野生の動物は若い時期に淘汰されるので、歳をとってから悪さをする遺伝的素因は除去されにくいという側面があります。一方では、若い時期に良い影響を及ぼす遺伝子でも、その同じ遺伝子が歳をとってからは悪い作用を発揮する—たと…

抗酸化物質による心血管系疾患の予防効果はなかった

果物や野菜に多く含まれるビタミンCやビタミンE、ベータカロテンなどの抗酸化物質によって心血管系疾患(心筋梗塞や脳卒中、心血管系疾患による死亡)が予防できるはずだと信じていましたが、ランダム化比較試験では期待ハズレのことが多かったという現実が…

最近評判の良い地中海食 (改訂後に再掲)

地中海食とは、オリーブオイル・果物・ナッツ・野菜・穀類(精製していない炭水化物)を多量に、魚・鶏肉を比較的多く、乳製品・赤みの肉・加工した肉・甘いものを少なくし、料理と一緒に適量のワインを摂取する食事です。 糖尿病もしくは少なくとも3つの危…

ビタミンやミネラルのサプリによる心血管系疾患の予防効果

心血管系疾患予防のための食事としては、(1)飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、赤身の肉を減らし、果物と野菜を多くしたもの、(2)地中海食、(3)ベジタリアン食などが推奨されています。サプリよりもこのような食事によって必要な栄養素を取るべきでしょ…

アルコール関連障害によってもたらされる認知症の実態

最近発表された認知症の危険因子に関する生涯モデル[Ref. 1] では、アルコールについては触れられていませんでした。アルコールと健康全般もしくは認知症との関係は非常に複雑です。アルコールには直接的神経毒性があり、またチアミン(ビタミンB1)欠乏によ…

長時間労働によって増加する脳卒中

多くの研究結果をまとめたメタアナリシス(1つの論文と16もの未出版研究を解析)から、週に55時間以上働くと標準的な労働時間(週36〜40時間)と比較して脳卒中の発症リスクが1.3倍となっていました [Ref. 1] 。長時間の労働によるストレス反応が脳卒中の引…

なぜ夢を見るのか?

臨床医学の観点から、「夢」について解説されています[注1] 。夢という魅力的な言葉から何を連想するでしょうか、明るい未来の予感でしょうか?実はそうではなくて、夢は昨日の意識活動の名残を清算し、翌日に備えるためのものです。一晩に5回あると言われ…

健常高齢者におけるアパシーについて

アパシーとは、認知機能障害や感情的動揺、意識障害などによらない「一次的」なやる気の低下を意味します。「自発的目的行動の減少」という行動としてとらえる立場もあります。高齢者に時にみとめられる「うつ」の中には、実際は白質病変など脳小血管病に由…

植物性タンパク質で脳梗塞が、動物性タンパク質で脳出血が減少する

久山町住民2,587人(データ解析は2,400人)を対象として、食事中からのタンパク摂取量と脳卒中発症リスクの関係が、19年の追跡調査において明らかとなりました[Ref. 1] 。食事については70項目半定量的食物摂取質問表を用いています。植物性タンパク質が最も…

精製されてない炭水化物は健康に良い(のか?)

一日350 gの野菜摂取目標をクリアすることは容易ではありません。腸内細菌のエサとなる水溶性食物繊維は一日5 g以上取った方が良いとされています。水溶性食物繊維が豊富な食材としてはアボガド、ナットウ、ゴボウ、ジャガイモ、ニンジン、ワカメ、ラッキョ…

海馬の萎縮と認知症

認知症は治療も予防もできないと考えられてきましたが、最近は「9因子の制御により認知症の35%は予防可能である」というように、予防を重視するようになってきています。アルツハイマー病で最も早期に萎縮する脳の領域は海馬であり、「海馬の萎縮」を手がか…

疲れた脳の休め方

マインドフルネス [注1] 瞑想が「脳の休息法」として注目されています。意識的な活動をしていないとき(何もせずにぼんやりしているとき)に働く、いくつかの脳領域—後帯状皮質や内側前頭前皮質など—からなるデフォルト•モード•ネットワークは(何もしてな…

心房細動による認知症は脳の微小塞栓によるらしい

心房細動は高齢者では最もよくある不整脈で、60歳以下で1%、80歳以上で8%にあると言われています。心房細動は脳卒中の強力な発症危険因子ですが、心房細動があると認知症のリスクも増大することが最近注目されています。心房細動による認知症発症の理由とし…

脳の健康に良いのは魚か肉か?

オーストラリアでの研究では、「不健康な」西洋の食事、つまり飽和脂肪酸(肉に多い脂)と精製した炭水化物(糖質)が多い食事では海馬(左)の容積が減少していました(年齢、性別、教育歴、うつ症状、身体活動度、血管危険因子で調節した多変量解析による…

タバコは本数が少なくても危険!

有名な久山町研究では「喫煙は脳卒中のリスクを下げる」と聞いたことがあります。脳卒中になる前に(なることもできずに)肺がんや心筋梗塞で死んでしまうからというこのとのようです [注1] 。 55の論文(141のコホート研究)のメタアナリシス [Ref. 1] に…

脳の健康のためになすべきこと

◆高血圧のコントロール 家庭血圧を測りましょう! ◆減塩、減塩、減塩 ◆健康的な食事 例えば地中海食、緩やかな糖質制限食、朝カレー ◆適切な睡眠 寝る時間より「起きる時間」を決める ◆運動、筋トレ、脳を働かせよう! 健康的な生活習慣の結果として脳が健康…