睡眠薬を服用すると認知症になる!?

不眠症の治療や抗不安薬としてベンゾジアゼピン系の薬(睡眠薬)が使われることが多かった。高齢者が長期間(不必要に)睡眠薬を服用すると認知症のリスクが高くなると言われているが、一致した見解には達していない。

 

睡眠薬の使用が認知症の原因となりうるのか—フランスの一般住民についての観察研究がある [Ref. 1] 。追跡調査を開始する前に5年間の先行期間を設け、その最初の3年間は睡眠薬を服用しておらず、追跡調査開始時に認知症がなかった1063例(平均年齢78.2歳)を15年間(中央値で6.2年間)追跡した。この期間に253人(23.8%)—睡眠薬服用者30人(32%)と非服用者223人(23%)—が認知症を発症した。新規睡眠薬服用者の認知症発症リスクは有意に上昇していた(多変量調節ハザード比 [注1] と95%信頼区間は1.60 [1.08-2.38] )。追跡開始前に先行期間を設け、多数例を解析したこの研究の信頼性は高い(原因と結果の解釈にはそれでも慎重でなくてはならないが----)。

 

豊田泰光のように、スランプでも「よく食って、よく眠って、ただ、待っている」[注2] ことができるなら、そもそも不眠症などならなくてすむ!?

 

注1:年齢、性別、教育歴、未婚であること、ワインの消費量、内服薬、先行期間の最初の3年間のミニメンタルテスト点数の変化で調整

 

注2:スランプ 考えるヒント (小林秀雄、文春文庫)

 

Ref. 1: Billioti de Gage S, Bégaud B, Bazin F, Verdoux H, Dartigues JF, Pérès K, Kurth T, Pariente A. Benzodiazepine use and risk of dementia: prospective population based study. BMJ 2012;345:e6231