副流煙による認知機能障害

ニコチンの代謝産物である(血液中や唾液中、尿中の)コチニンは喫煙者と非喫煙者を判別するもっとも良い指標です。非喫煙者においては、唾液中コチニン濃度は最近の(コチニンの半減期は16-25時間)受動喫煙の程度を反映します。

 

英国の一般住民からランダムに抽出した非喫煙者4,809名(平均年齢65.1歳、女性が53%)では、多量の副流煙受動喫煙)にさらされると「認知機能障害あり」と判定されるオッズ比 [注1] は1.44 (95%信頼区間1.07—1.94)と有意に増加していました [Ref. 1] 。以前に喫煙経験のある非喫煙者を除いて解析しても同様の結果が得られました。この研究は認知症発症をみたものではありませんが、受動喫煙の程度が強いと認知機能障害を起こす可能性が高いことを示しています。

 

高速液体クロマトグラフィーで分離して、ガスクロマトグラフィーで唾液のコチニンを測ってみよう!

 

注1:唾液中のコチニン濃度がもっとも高い群ともっとも低い群(4分位)を比較。ロジスティック回帰分析による断面調査—年齢、性別、教育歴、検査間隔、人種/民族、肉体労働、所得、喫煙の病歴、肥満、飲酒、身体活動度、うつ症状を共変量として調整。

 

Ref. 1: Llewellyn DJ, Lang IA, Langa KM, Naughton F, Matthews FE. Exposure to secondhand smoke and cognitive impairment in non-smokers: national cross sectional study with cotinine measurement. BMJ 2009;338:b462.