飲酒は適量でも脳に悪い(良くはない!)

「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度 [注1] —という目安が示されています。しかしながら「適度な飲酒なら脳に良い」とは限りません。

 

30年という長期間追跡している英国の一般住民の集団から、ランダムに550人(平均年齢43歳、男性が約8割と多い)を選択し、飲酒量と脳MRI画像所見の関連について解析を行なった研究があります [Ref. 1] 。1週間に30単位以上(ここではアルコール10 mL [8 g] を1単位としている)の多量飲酒群では海馬萎縮 [注2] と判定されるオッズ比が5.8(95%信頼区間1.8—18.6、非飲酒群との比較)と増加していました。少量なら飲んだ方が良いのではという、いわゆる「Jカーブ現象」はみとめられず、飲酒量は多いほど悪いという結果でした。

 

「節度ある適度な飲酒」でも脳に良いということはない!

 

注1:厚生労働省のホームページから (http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/b5.html)

 

注2:左右の海馬でやや結果が異なりますが、1週間に30単位以上では左右ほぼ一致して萎縮ありと判定される。ここで示すオッズ比は右の値。

 

Ref. 1: Topiwala A, Allan CL, Valkanova V, Zsoldos E, Filippini N, Sexton C, Mahmood A, Fooks P, Singh-Manoux A, Mackay CE, Kivimäki M, Ebmeier KP. Moderate alcohol consumption as risk factor for adverse brain outcomes and cognitive decline: longitudinal cohort study. BMJ 2017;357:j2353.