片頭痛と脳卒中

今年(2018年)6月にサンフランシスコで開催されたアメリカ頭痛学会での片頭痛に関する話題が紹介されています[注1] 。その中には、並存する健康問題からみて片頭痛が明確な8つ亜群に分類できること、ひどい症状の回数や薬の使用過多、慢性の片頭痛、前兆などが並存疾患の数と関連することが報告されています。興味深い話として、気候の変化が自分の片頭痛の引き金であると信じて、スマートウォッチで天気予報をみていた男性患者からスマートウォッチを取り上げたら気候変動は片頭痛の引き金とならなくなったというもので、つまり気候変動が引き金ではなく、気候変動で片頭痛が起こると信じていたことによる「不安感」が本当の引き金であったということです。ハイライトとして、calcitonin gene-related peptideに対するモノクローナル抗体片頭痛に対する有効性に関する複数の研究が進行中で、有望な結果を示しつつあるということが述べられています。

 

それでは少し最先端から戻って、片頭痛脳卒中(脳の健康)との関係はどのようになっているかみてみましょう。2836の論文から最終的に18論文(全部で1152407人の解析、うち394942人に片頭痛あり)を選定し、メタアナリシスを行なった結果が報告されています[Ref. 1] 。脳卒中について記載のある13研究(平均追跡期間5.8年)からの結果では、片頭痛のあるヒトの脳卒中リスクは有意に上昇していました(ハザード比1.42、95%信頼区間1.25 –1.61)。脳卒中の病型別では脳梗塞脳出血も共に片頭痛によりリスクが上昇していました。このリスク上昇は前兆のある片頭痛にのみにみとめられました。片頭痛による脳卒中発症の機序が全て明らかとなっているわけではありませんが、今後—特に前兆のある—片頭痛のヒトの脳卒中リスクを軽減するための研究が進展すると期待されます。

 

注1:John Watson—Headache Experts on What’s Hot in Migraine. (www.medscape.com; September 04, 2018)

 

Ref. 1:Mahmoud AN, Mentias A, Elgendy AY, Qazi A, Barakat AF, Saad M, Mohsen A, Abuzaid A, Mansoor H, Mojadidi MK, Elgendy IY. Migraine and the risk of cardiovascular and cerebrovascular events: a meta-analysis of 16 cohort studies including 1 152 407 subjects. BMJ Open2018;8:e020498.