瞑想とヨガと心血管系疾患

まず、アメリカ心臓協会の学術的見解として「瞑想によって心血管系疾患が減少するか」について14ページ(引用文献数131)もの論文[Ref. 1] にまとめてあることに驚きました。「瞑想」だけでこれだけ書くか(書けるのか)!?ということです。様々なタイプの瞑想について—明確な定義はないとするものの—簡単な説明と起源や有名な指導者まで紹介しています。太極拳や気功、ヨガなど身体活動を伴うものは今回の解析から外しています。さすがに通常の文献検索だけでは十分ではなかったのか、PubMedに加えてグーグルとグーグルスカラー検索も追加しています。瞑想によってもたらされる有益な効果として、脳の形態と機能、ストレス反応(心理的・生理学的反応)、血圧、喫煙(禁煙)行動、インスリン抵抗性とメタボリックシンドローム、潜在性動脈硬化、血管内皮機能、心筋虚血、心血管系疾患の一次および二次予防について解析していますが、残念ながらほとんどの項目につき十分な研究結果はないという結論でした。現時点では、有害性が少なく安価な瞑想(という手技)は、ガイドラインを遵守した上での付加的手段として合理性がある—今後に期待する—ということでしょうか。

 

アメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会のデータベースを用いて、喫煙に対するグループ療法、地中海食的食習慣、ウオーキング、ヨガの4つの生活習慣について、より心血管系疾患の発症リスクを減少させるのはどの介入かが解析されています[Ref. 2] 。もっとも効果があったのはヨガで、次にウオーキング、地中海食の順でした。禁煙できた場合の効果は大きいものの、禁煙の成功率が低いため、喫煙に対するグループ療法の効果は十分ではありませんでした。ヨガは脂質や血圧、体重を減らす効果があることも注目されています。このような「良い生活習慣」は、用具や高価な薬剤が不要で、自宅や近所でできるという利点も強調すべきでしょう。

 

 

Ref. 1: Levine GN, Lange RA, Bairey-Merz CN, Davidson RJ, Jamerson K, Mehta PK, Michos ED, Norris K, Ray IB, Saban KL, Shah T, Stein R, Smith SC Jr; American Heart Association Council on Clinical Cardiology; Council on Cardiovascular and Stroke Nursing; and Council on Hypertension. Meditation and Cardiovascular Risk Reduction: A Scientific Statement From the American Heart Association. J Am Heart Assoc2017;6:e002218.

 

Ref. 2: Chu P, Pandya A, Salomon JA, Goldie SJ, Hunink MG. Comparative Effectiveness of Personalized Lifestyle Management Strategies for Cardiovascular Disease Risk Reduction. J Am Heart Assoc2016;5:e002737.