脳の健康のために (5) アパシー、生活不活発病、認知的フレイル

認知機能障害や感情的動揺、意識障害などによらない(特に原因がハッキリしない)やる気の低下アパシーと言います。「できるけどやらない」状態(アパシー)が続くと、次第に脳の機能が衰えて認知機能障害の状態、つまり「やりたくてもできない」状態となるので、高齢者のアパシーは過小評価すべきではありません。毎日の生活が不活発になってくると、非常に多くの心身のはたらきが少しずつ低下し、「生活動作の不自由さ、やりにくさ」が出てくる、生活不活発病となります。「動かない」とヒトは病むのです。フレイルと軽度の認知機能低下があると認知症発症リスクが急上昇することが示されており、認知的フレイルの概念として注目されています。身体面の問題(フレイル)のため、動かないでいると、動けなくなって、ヒトは病むのです。認知症予防のためには、脳トレのみでなく、筋トレ有酸素運動などからだを鍛えることが大事です。有酸素運動によって(本来年とともに萎縮するはずの)海馬が逆に大きくなるというランダム化比較試験があります。

 

「動かない」とヒトは病むので、動けるからだにしておかなくてはなりません。動けるからだがあっても、何もしないでいると、「やりたくてもできなく」なってしまうので、やりたいことがなくなることを心配しましょう。