欠損値解析計画から無くしたものは何?

統計学が最強の学問です。なぜならランダム化比較試験を行なえば「人間の制御しうる何物についても、その因果関係[注1] を分析できるから」です。ランダム化してしまえば、ランダム化に関わる1要因以外は群間で同じなので、得られた群間の差(結果)の原因…

女性はアルツハイマー病になりやすい なぜ?

アルツハイマー病が女性に多い理由として、男性より女性の方が長生きするからというだけではないようです。女性のアルツハイマー病リスクを上げるものとして、閉経にともなう神経内分泌系の変化があると考えられています [Ref. 1] 。閉経は平均51歳(88%は40…

定量的やる気スコア(アパシースケール)の作成

意識障害や感情的動揺、認知機能障害など、特定の原因が明らかでない状況で生じるやる気の低下のことをアパシーと言います。アパシーは頻度の多いもので、一般人口の3%、軽度認知機能障害の7人に1人、認知症では3人に1人に存在するとされています。アパ…

降圧療法による認知症の減少

高血圧の治療により認知症が予防できるのかについては未だハッキリしません。降圧治療群に対して全く治療しない対照群を設定することはできないことや、認知症の発症が1次エンドポイントではない(つまり心血管系疾患発症に対する効果をみるついでに認知症…

ヨガと脳の健康

ヨガの歴史は長く(2000年以上昔のインドに由来する)、必然的に多くの流派と、身体操作にも様々な違いがあります。しかし、ヨガの真髄が「心と身体の融合を目的とする」ことに変わりはありません。西洋でヨガが流行しだしたのは20世紀に入ってからで、研究…

睡眠薬を服用しつづけると認知症になる?

不眠症はよくある睡眠障害の一つで、成人の30%以上が入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠困難などいずれかの不眠症状を有し、6〜10%のヒトが不眠症の状態です[注1] 。不眠症の治療にはベンゾジアゼピン系の薬(いわゆる睡眠薬)が安易に使われてきました。…

生物(医学)統計学がむずかしい理由

西内啓さんによると[注1]、統計学が最強の学問である理由は、「人間の制御しうる何物についても、その因果関係[注2] を分析できるから」であり、この統計学の汎用性は、どのようなことの因果関係も科学的に検証可能なランダム化比較試験によって支えられて…

脳MRI健診から得られたささやかな新知見

アルツハイマー病では記憶の障害が最初に起こるのに対して、脳血管性認知障害では遂行機能障害がその特徴であると言われてきました。私たちの経験でも、潜在性脳梗塞がある(多発する)と遂行機能が障害されますが、さらに慢性腎臓病でも遂行機能が障害され…

脳MRI健診のオプションとしての食塩摂取量測定

2015年に食塩摂取目標値は1日あたり男性8 g、女性7 gに厳格化されましたが、日本人の食塩摂取量は1日男性14 g、女性11.8 gと依然過剰なようです。醤油や味噌からの食塩摂取量が多いのも事実ですが、今日では食塩摂取量の5〜8割は加工食品に由来するので、…

脳MRI健診—画像以外の項目

(1)生活習慣に関するアンケート 生活習慣アンケートでは、まず喫煙と飲酒に関する質問が最初にあります。喫煙は一日平均で10本以上を喫煙ありとしていますが、一日1本でも心血管系疾患リスクがかなり上昇するという報告もあり、今後再評価が必要かもしれ…

一般住民における脳MRI健診

脳MRI画像なしでも、これまで多くの疫学研究から(その多くは観察研究ですが)心血管系疾患の危険因子や認知症になりやすくする(悪い)生活習慣などについて分かってきました。しかしながら、脳卒中を発症していないヒトにも一定数の潜在性脳梗塞は存在しま…

白質病変の迷走

脳MRI検査の出始めには、T2強調画像で「白く光る」病変に目が眩んでいました。それはハッキリ見えるのですから、気になったのは仕方ないでしょう。しかしT2強調画像で同じように「白く光る」病変でも、T1強調画像で明らかに「黒く抜ける」病変とT1強調画像で…

MRIで初めて見つかる脳梗塞—当時の状況

1990年代に脳のMRI検査が普及してきて、症状がなくても脳に病変が意外とあることがわかってきました。高血圧などの危険因子を有する高齢者ではほぼ全例にT2強調画像で「白く光る」病変があるなどという極端なものもありましたが、そこまでいかなくても高齢者…

血管性アパシーという考え方

感情的動揺や認知機能障害、意識障害に起因しない一次的なやる気の低下をアパシーと称し、前頭葉・基底核ネットワークの障害によると考えられています。アパシーはうつ病の症状の一つでもありますが、うつ病に特有の精神運動制止・抑うつ気分は乏しく、しば…

食物の抗酸化物質フラボノールと認知症

マインドダイエット[注1] の提唱者であるモリスさん(Mertha Clare Morris, Sc D)が2020年2月14日に64歳で亡くなられました。マインドダイエットは地中海食とDASH食のハイブリッドで、葉物緑色野菜・ナッツ・ベリー(小果実)・魚・鶏肉・全粒穀物・豆類・…

飲酒と脳出血

脳出血は脳卒中の病型の中で10-15%を占め、虚血性脳卒中(脳梗塞)より一般的に重症です。飲酒と脳出血に関して、総説にまとめられています[Ref. 2] 。飲酒量の単位として、英国ではエタノールに換算して8 gを1単位とするのに対し、米国では14 gが1単位と…

ハザードマップが作れるはず ベイズで

日本に1000人のコロナウイルス感染者がいて、日本人全員に感度0.9・特異度0.9の検査を行なった場合 1000X0.9+100000000X0.1→1X0.9+100000X0.1=0.9+10000 検査結果が陽性の場合、コロナウイルスに感染しているのは10000人に1人 検査結果が陽性の時コロナウイ…

コロナウイルスも煮つめることができるはず ベイズで

3月4日(水) コロナウイルス検査陽性でもコロナウイルス陽性ではない。どうする? インフルエンザA型ウイルスに対して鼻腔ぬぐい液をウイルス分離培養した結果を真の感染とした場合、通常使用されている簡易キットでは 陽性例106例中簡易キットでは100例…

間欠的絶食によるダイエット

動物においてカロリー制限をすると、老化を抑制し、寿命が伸びることが示されています。その理由としては、以前は余剰カロリーから派生した酸化ストレス(フリーラジカル)による障害を軽減するからと言われていましたが、最近の考察では「与えられた(少な…

肥満とやせ どちらが認知症になりやすい?

認知症のヒトの体重は同年代と比べて低く、認知症となる10年ほど前から体重は減少し始めることが知られています。認知症になりやすいのは肥満のヒトという報告と、やせている方が認知症になりやすいという相反する報告があります。どちらにしても短期間の追…

和食の光と影

日本食とは何か?「日本の伝統的食文化としての和食」 [注1] から要約してみたいと思います。日本料理というときは、料理屋で提供される高級料理という印象があり、家庭食に重点をおいて日本食文化を見ていくとすれば和食という言葉の方が適切だそうです。…

菜食主義では脳出血は(少し)増える

肉を食べるヒト(魚も乳製品も卵も食べる)、(肉は食べないが)魚は食べるヒト、菜食主義者(肉も魚も食べないが乳製品や卵は食べる)、絶対菜食主義者(vegan、肉も魚も乳製品も卵も食べない)の心血管系疾患について英国での研究があります[Ref. 1] 。菜…

〇〇〇〇〇なら肉は食べるな

「健康ためには赤みの肉は最小限に!」と言われています。最近のメタアナリシスにより赤みの肉をひかえると死亡率が下がることが示されましたが、「大人は現在の赤みの肉の消費を続ける」と結論しています [Ref. 1] 。矛盾していないでしょうか?メタアナリ…

脳の健康のために (1) 脳を疲れさせない

マインドフルネス瞑想は、デフォルト•モード•ネットワークの暴走にブレーキをかけ、脳がむだに疲れないようにしてくれるので、脳の休息法としてオススメです。ヨガには心血管系疾患の発症リスクを減少させる効果が顕著でした。楽天家には心理的な利点が多い…

脳の健康のために (2) 健康的な食事

てっとりばやく体重を減らそうとするなら糖質制限が効果的ですが、長い目でみたら地中海食の方が良さそうです。オリーブオイルやナッツ、果物と野菜が多く、魚や鳥肉が多い一方では赤身の肉や加工肉が少なく(加工肉が少ないと減塩にもなります)、炭水化物…

脳の健康のために (3) 血管危険因子の管理

多量飲酒では海馬が萎縮し、節度ある適度な飲酒なら脳に良い(脳萎縮が軽い)ということはありませんでした。1日に20本喫煙した場合の(虚血性心疾患や脳卒中の)リスク増大分の40〜50%相当が、たった1日1本の喫煙で生じるので、タバコは本数が少なくても…

脳の健康のために (4) 脳の潜在性病変にまつわる話

無症候性脳梗塞はおおざっぱに言って、60歳代では10人に1人、80歳代では10人に3人ほど見つかります。無症候性脳梗塞の危険因子としては高血圧が主なもので、ほかに糖尿病や慢性腎臓病、飲酒、喫煙などがあり、一般的な脳卒中の危険因子と同じです。潜在性脳…

脳の健康のために (5) アパシー、生活不活発病、認知的フレイル

認知機能障害や感情的動揺、意識障害などによらない(特に原因がハッキリしない)やる気の低下をアパシーと言います。「できるけどやらない」状態(アパシー)が続くと、次第に脳の機能が衰えて認知機能障害の状態、つまり「やりたくてもできない」状態とな…

脳の健康のために (6) 認知症の予防

高齢者の人口が増加しつづける社会では、当然のように認知症患者の数(有病率)は増加しますが、認知症の発症率は減少しているという報告があります。認知症の発症率が減っていれば、認知症の予防ができている(もしくは予防可能性がある)ということです。…

脳科学とダイエット

ダイエットの99%は失敗するというというデータがあります。5つの質問に答えることで、食物依存症のリスクを自動的に計算してくれるオンラインの感受性クイズ(www.FoodFreedomQuiz.com)によると、私の点数は2点で食物依存症になる危険性は低く、このクイ…