2022-01-01から1年間の記事一覧

休日の朝、シュークリームを食べている

土日の朝は、コーヒーのお供にシュークリームを1個食べます。定番は「牛乳と卵のカスタード&ホイップシュー」です。このシュークリームは、1個でカロリーが214キロカロリーもあります。これはごはんだとおちゃわん1杯くらい、食パン1.35枚、うどんだと1…

甘い罠—人工甘味料について

精製した炭水化物や糖質の有害性は明らかで、WHOは「糖」の摂取は総カロリーの10%以下とするように強く推奨しています。砂糖をひかえるために人工甘味料が開発されましたが、砂糖よりも人工甘味料の弊害の方がより大きいようです。フラミンガム研究での10年…

なぜ、教育に実験が必要なのか?

教育には認知症の予防効果があると考えられています。アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、北米で行なわれた共同研究では、高校卒業以上の教育および高い仕事の複雑性はともに認知症発症までの期間を延長させていました。教育効果の28%は仕事の複雑性によっ…

教育とモチベーション

新型コロナウイルスで自粛まっさかりの2020年5月7日、NHKあさイチの冒頭企画《休校続く・・・子どもの「学習」への影響は?》で日本大学教授の末冨芳さん(リモート出演)が述べられたことが記憶に残っています。休校が続くことで、子供の学習に悪い影響が…

「脳の健康」のためになすべきこと

◆ 脳を疲れさせない ◆ 適切な睡眠、寝る時間より「起きる時間」を決める ◆ 健康的な食事、例えば地中海食、ゆるやかな糖質制限食 ◆ もちろん禁煙 ◆ 高血圧のコントロール、家庭血圧を測りましょう ◆ 減塩! 加工食品をできるだけ 避けよう ◆ 有酸素運動、筋…

生物(医学)統計学がむずかしい理由

西内啓さんによると、統計学が最強の学問である理由は、「人間の制御しうる何物についても、その因果関係を分析できるから」です。この統計学の汎用性は、どのような因果関係も科学的に検証可能なランダム化比較試験によって支えられています。ランダム(無…

女性は認知症になりやすい なんで?

アルツハイマー病が女性に多い理由として、男性より女性の方が長生きするからというだけではないようです。女性のアルツハイマー病リスクを上げるものとして、閉経にともなう神経内分泌系の変化があると考えられています。閉経は平均51歳(88%は40〜58歳)で…

女性の脳は守られている

一般的に女性の方が男性より約7歳長生きします。女性はなぜ男性より長生きするのでしょうか?女性はお酒やタバコを嗜むヒトが少ないなど生活習慣に違があるからなのか、それとも生殖期間にある女性は性ホルモンによって保護されているのでしょうか。たくさ…

肥満とやせ—どちらが認知症になりやすい?

肥満とやせ、どちらが認知症になりやすいでしょうか?英国で行なわれた100万人規模の長期追跡調査では、追跡開始時の肥満と15年以上追跡後の認知症発症が相関していました。一方、低体重や低カロリー摂取、不活発な身体活動度は短期間の追跡では認知症を増や…

サウナは認知症を予防する!

フィンランドの伝統的なサウナは、80〜100℃と高温で、湿度は10〜20%と乾燥していて、時に熱した岩に水をかけて湿度を上昇させるといったものです(サウナの入浴回数は平均週2.1回、入浴時間は平均14.2分、温度は平均78.9℃でした)。サウナに頻回に入るヒトに…

サプリは認知症を予防しない

店頭で売られているサプリ(注1)は認知症を予防するか? 全く効果なし。以上!です。もう少し丁寧にみてみると、データベース検索において11,087件の論文がヒットし、タイトルと抄録を読んで9,487論文を除外、手作業で見つけた185論文を加え、そのうち1,41…

脳トレは有効か?

渡る世間は脳トレブームです。「脳トレ」のキーワードで検索してみると、「脳がみるみる若返る—脳トレ習慣」とか「認知症を防ぐ脳活ドリル」とか「毎日脳トレ計算ドリル」など、一生かかっても、こなしきれないほどの「脳トレ本」が出てきます。ところが、脳…

主観的な物忘れ—「気にしすぎ」なのか?

健常高齢者に(主観的な)物忘れがある場合、年相応であり、正常範囲(平たく言えば「気にしすぎ」)としてきましたが、高齢者が物忘れを訴えるのは「気のせい」ではないかもしれません。例えば、認知機能検査が正常でも自覚的物忘れがあるヒトではアルツハ…

認知症は減少している?!

高齢者の人口が増加しつづける社会では、認知症患者の数が増加することは当然ですが、認知症の発症率は減少しているという報告があります。フラミンガム研究では、認知症の5年累積発症率は3.6/100人(1997-1983年)から2.0/100人(2004-2008年)へと減少し…

認知症は予防する時代になっている

2017年と2020年のThe Lancet Commissionsの論文により修正可能な12の認知症の危険因子(短い教育歴、高血圧、難聴、喫煙、肥満、うつ、身体活動度低下、糖尿病、社会的孤立、過剰な飲酒、頭部外傷、大気汚染)が示されました。この12の因子により認知症の40%…

筋トレで、まずは体づくりから

筋肉は加齢とともにおとろえ、特に下肢の筋力が最初に弱くなります。したがって、自分で動くことができる状態を維持するためには、下肢の筋力を保つことが重要です。ガイトン生理学の教科書には「最大負荷に近い筋収縮を6回、1日3セット、週3日実施する…

「動かない」とヒトは病む

「体も頭も使わないとなまる」ことは「常識」として知られています。毎日の生活が不活発になってくると、非常に多くの心身のはたらきが少しずつ低下し、「生活動作の不自由さ、やりにくさ」が出てきます。この状態を大川弥生さんは「生活不活発病」と命名し…

健常高齢者のやる気の低下

認知機能障害や感情的動揺、意識障害などによらない(特に原因の無い)「やる気の低下」をアパシーと言います。うつ病でもアパシーとなりますが、うつ病特有のゆううつ気分や罪悪感、絶望感などはアパシーにはありません。英国の研究グループは、高齢者の大…

脳が好きなエクササイズ

体を動かすと認知機能が改善し、認知症になりにくいことを示した多くの研究がありますが、系統的文献検索(システマテイックレビュー)によると、多くの研究は短期間・少数例の観察で、不十分なものです。良質な研究としては、120人の高齢者をトレッドミルで…

もっとも健康に良いスポーツ種目は?

運動が健康に良いことは直感的にあきらかですが、運動種目の中ではどの種目がより良いのでしょうか?英国の一般住民約8万人を平均9.2年間追跡した報告では、水泳、エアロビクス、ラケットスポーツ(バドミントン、テニス、スカッシュなど)では死亡率および…

お酒の適量とは

飲酒量の単位として、多くの国ではエタノール10グラムが1単位です。「節度ある適度な飲酒」とは1日平均純アルコール20グラム(2単位)までです。少し具体的にみてみましょう。たまたまここに「Rabbit Ridge 2016 ZINFANDEL」があります。アルコール濃度15…

高血圧はアルツハイマー病の原因?

だいぶん以前のことですが、収縮期高血圧に対するランダム化比較試験が実施されたことがあり、やはりというか、今日の感覚からすると当然のことですが、プラセボを投与された対照群に脳卒中が多く発症したため、試験は早期に中止され、その後は経過観察が継…

「血圧の話」

脳卒中の予防のためには「血管危険因子の管理」がもっとも重要で、ここはどうしても血圧の話が多くなります。尾前照雄先生(1926〜2021)の「血圧の話」(岩波新書)が出版されてから四半世紀以上が経過しました。その間に高血圧に関する知見の集積はすさま…

「高血圧という病名」になっている

高血圧の患者さんの中には「さっさと薬を出してください。手っ取り早く血圧を下げて安心したい」というヒトや、減塩やダイエットなど「辛い食事制限」は嫌だとか、「お酒を減らしなさい」「タバコをやめなさい」「あれもダメ、これもダメ」「ダメです、禁止…

血圧を下げすぎてきつくないか

高血圧の降圧目標は厳しくなっています。これは厳格な降圧療法により、心血管疾患や死亡率がさらに低下したというランダム化比較試験(SPRINT研究など)の結果を受けたものです。SPRINT研究では、治療される側の主観的満足度(治療や薬剤に対する満足度、治…

減塩後進国 日本

高血圧治療や脳卒中予防において、減塩は非常に効果的です。24時間蓄尿による食塩摂取量測定を行ない、20年以上追跡したTrials Of Hypertension Prevention (TOHP)研究では、食塩摂取量が多いと死亡率は直線的に増加していました。心血管疾患の発症も食塩摂…

醤油とみそに含まれる食塩量

薄口(うすくち)醤油の方が濃口(こいくち)醤油より塩分が多いというのは意外な感じがします。これは色の薄い薄口醤油は発酵をゆるやかにして色みを薄くするために塩を多く使うためです。大さじ1の醤油に含まれる食塩量は、濃口醤油2.6グラム(我が家の濃…

家庭血圧測定は必須!

高血圧の診断や治療開始の前に家庭血圧を測定することが必須になってきています。家庭血圧測定は朝と夜(寝る直前)が基本ですが、諸条件をそろえやすいので、朝の測定を優先したほうが良いと私は考えています。朝の家庭血圧測定は起床後なるべく早く(1時…

コーヒーと脳の健康

ヨーロッパ10カ国での追跡調査では、コーヒーを多く飲むと死亡率が1割ほど減少しました。脳卒中による死亡も、コーヒー多飲群(特に女性)で少ないことが分かりました。多人種からなる集団での報告でも、コーヒーを1日2-3杯以上飲むと全死亡と脳卒中による…

チョコレートと脳卒中

チョコレートとは栄養成分表示のいちばん最初に「カカオ」と書かれているものです。最初に「砂糖」があったら、それはチョコレートではなく、チョコ味をつけた砂糖のかたまりです(注)。それでは「本当の」チョコレートは健康に良いのでしょうか?メタアナ…