2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

減塩後進国 日本

高血圧治療や脳卒中予防において、減塩は非常に効果的です。24時間蓄尿による食塩摂取量測定を行ない、20年以上追跡したTrials Of Hypertension Prevention (TOHP)研究では、食塩摂取量が多いと死亡率は直線的に増加していました。心血管疾患の発症も食塩摂…

醤油とみそに含まれる食塩量

薄口(うすくち)醤油の方が濃口(こいくち)醤油より塩分が多いというのは意外な感じがします。これは色の薄い薄口醤油は発酵をゆるやかにして色みを薄くするために塩を多く使うためです。大さじ1の醤油に含まれる食塩量は、濃口醤油2.6グラム(我が家の濃…

家庭血圧測定は必須!

高血圧の診断や治療開始の前に家庭血圧を測定することが必須になってきています。家庭血圧測定は朝と夜(寝る直前)が基本ですが、諸条件をそろえやすいので、朝の測定を優先したほうが良いと私は考えています。朝の家庭血圧測定は起床後なるべく早く(1時…

コーヒーと脳の健康

ヨーロッパ10カ国での追跡調査では、コーヒーを多く飲むと死亡率が1割ほど減少しました。脳卒中による死亡も、コーヒー多飲群(特に女性)で少ないことが分かりました。多人種からなる集団での報告でも、コーヒーを1日2-3杯以上飲むと全死亡と脳卒中による…

チョコレートと脳卒中

チョコレートとは栄養成分表示のいちばん最初に「カカオ」と書かれているものです。最初に「砂糖」があったら、それはチョコレートではなく、チョコ味をつけた砂糖のかたまりです(注)。それでは「本当の」チョコレートは健康に良いのでしょうか?メタアナ…

卵は1日に何個まで食べてよいのか?

卵には多量のコレステロールが含まれるため(中くらいの大きさの卵のコレステロール含有量は約180ミリグラム)、卵は目のかたきにされてきました。ところが、食事でとったコレステロールによって血中コレステロールが増加するわけではなく、栄養価も高いのに…

大豆か魚か、それともオメガ3サプリ?

久山町研究(注)では、食事の植物性タンパク質が多いと脳梗塞が減少し、動物性タンパク質が多いと脳出血が半分ほどに減少していました。植物性タンパク質摂取量は大豆を使用した食品との関連がもっとも強く、動物性タンパク質摂取量は魚、次いで乳製品や肉…

ビーガン食は健康的か?

菜食主義は若い女性のあいだで人気がありますが、ビーガン食は無条件で健康的とは言えません。肉や魚・乳製品・卵も食べないビーガン食は食品が限定されるため、タンパク質やビタミン不足などの栄養学的問題が生じることがあります。体重60キロの少女のタン…

人類は雑食性の霊長類

野菜や果物を多く食べると健康に良いと信じられています。野菜や果物の摂取量が多いと総死亡率と心血管疾患以外による死亡率が減少していました。375〜500グラム/日の野菜や果物の摂取量で総死亡率がもっとも減少しており、それ以上摂取しても効果は頭打ちで…

和食の光と影

世界61地域で24時間尿を採取し、魚介類摂取の目安であるタウリンと大豆摂取の目安であるイソフラボンを測定して、「和食スコア」を作成した家森幸男教授 [注] によると、タウリンとイソフラボンが5×5=25分割の中でもっとも多いところに日本人の約90%が当て…

最近評判の良い地中海食

健康的な食事についてのシステマテイックレビューでは、野菜や果物、豆類、ナッツ、全粒、野菜オイル、魚、低脂肪の肉・鶏肉は死亡率を低下させ、赤身の肉や加工肉、高脂肪乳製品、精製した炭水化物・菓子は悪いことが示されています。唯一ランダム化比較試…

ゆるやかな糖質制限

糖質(炭水化物)制限によるダイエットの根拠となったものの一つに、イスラエルでの「どのような食事が肥満の解消に有効か?」というランダム化比較試験があります(参加者の平均体重は91.4 kg、86%は男性)。2年間での体重減少は、低脂肪食で2.9 kg 、カロ…

寝ても寝なくても認知症になる?

久山町研究 [注] では、睡眠時間が5時間未満と10時間以上で認知症が増加していました。別の研究では、短い睡眠時間と寝つくまでに30分以上かかることが認知症発症に関連していました。腕に装着したスマートウォッチの加速度センサーにより睡眠の質を測定し…

「果報は寝て待て」ない

睡眠時間が8時間より長いと脳卒中になりやすいという報告があります。最近の中国での200万人近くをあつかったメタアナリシスでも、加齢・高血圧・心血管系疾患の既往・慢性腎臓病・糖尿病・メタボリックシンドローム・高血糖・肥満・喫煙などの古典的血管危…

なぜ夢をみるのか

「夢」という魅力的な言葉から何を連想するでしょうか。明るい未来の予感でしょうか。夢が現実となったら嬉しいとか、夢をかなえるために頑張るなどとよく言います。何かのTVドラマで「ヒトは夢をみるから生きられるのです」と誰かが言っていました(リーガ…

笑う門には福来たる

「将来的に必ず良いことが起こる」「良いことしか起こらない」と思うポジティブな心の持ちよう(楽天的)であることは、学業や仕事、スポーツのみではなく身体面でも良い効果をもたらします。メタアナリシスでは、楽観的であることは心血管疾患を35%、死亡率…

ヨガと脳の健康

ヨガはゆったりとした動きを基本とし、インナーマッスルを鍛える筋トレ効果もあります。動きとともに「呼吸」が重要で、鼻呼吸でゆっくりと吸って、吸った時間の倍の時間をかけて吐き出します。呼吸の通り道を感じて、呼吸に集中し、瞑想を行ないます。ヨガ…

疲れた脳の休め方

マインドフルネス瞑想が「脳の休息法」として注目されています。うつやストレス、不安、ノイローゼなど精神面の不調はしばしば睡眠障害を伴っていて、これらはすべて高齢者の幸福感やメンタルヘルスの状態を悪くし、脳の健康を損ない、認知症になりやすくし…