認知機能低下に関与する睡眠障害

2日間徹夜すると「注意力」や「集中力」は急激に低下する。6時間くらい眠れば大丈夫だと思っていても、「6時間睡眠を2週間続けた脳は、2晩徹夜したのとほぼ同じ状態」であるという。わずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なる「睡眠負債」は無視できない健康被害をもたらす [注1] 。

 

一般住民740名(平均年齢75歳、613名 [82.8%] が認知機能正常)の睡眠と認知機能との関連について調査し、3年間追跡した報告がある [Ref. 1] 。睡眠時間に加えて「寝つきが悪いか?」「夜中に目がさめるか?」「(睡眠障害のため)昼間眠たいか?」などについて質問した。教育歴で補正した認知機能検査の点数低下と関連していたのは、認知機能正常者で「夜中に目がさめる」という項目であった。単に睡眠時間だけの問題ではなく、睡眠の質が悪いと認知症になりやすいのだろうか?

 

“財産は睡眠中に創られる” “苦労は夢とともに消える” [注2]

 

注1:どうすれば返済? コワ〜イ睡眠負債(NHKあさイチ 2017年9月4日放送)

 

注2:夏への扉ロバート・A・ハインライン、福島正美 [訳]、ハヤカワ文庫)

 

Ref. 1: Johar H, Kawan R, Emeny RT, Ladwig KH. Impaired Sleep Predicts Cognitive Decline in Old People: Findings from the Prospective KORA Age Study. Sleep. 2016;39:217-226.