「脳の健康」の最適化について

健康で長生きするためには脳の働きが保たれていること—脳の健康状態が良いこと—が必須です。健康な脳とは、まず血管性病変や変性疾患—脳卒中アルツハイマー病など—がない状態でしょう。高血圧や糖尿病、肥満、身体活動度低下、喫煙、うつなどの危険因子が脳の不健康に関与しています。認知機能を障害するものとしては、脳卒中は頻度の多いものですが、「潜在性」脳卒中は少なくとも5倍は症候性脳卒中より高頻度で、認知機能障害(特に遂行機能障害)やアパシーの原因となります。したがって、MRIによる潜在性病変の評価は脳の健康診断を行う上で最重要なもののひとつです。認知機能を評価するための短いスクリーニングテストも(脳の健康診断の一助として)推奨されています。アルツハイマー病予防の観点からは、身体活動度増加や血管危険因子の管理、健康的な食生活、生涯にわたる学習と脳の活性化などが提唱されています。教育は、高学歴が高い社会経済的状態をもたらすこともあって、高齢期の認知機能を良好にします。さらに脳の健康のためには、ヒトや社会との関わりを持つことや心のケアなども重要です。以上のような点を踏まえて、脳の健康増進のための多方面からのアプローチがまとめられています(AHA/ASA Presidential Advisory [Ref. 1] )。

 

全ての道は「脳の健康」へ通ず—何か宗教(一神教)みたいになってきましたが、いちいち科学的根拠があることです。

 

Ref. 1: Gorelick PB, Furie KL, Iadecola C, Smith EE, Waddy SP, Lloyd-Jones DM, Bae HJ, Bauman MA, Dichgans M, Duncan PW, Girgus M, Howard VJ, Lazar RM, Seshadri S, Testai FD, van Gaal S, Yaffe K, Wasiak H, Zerna C; American Heart Association/American Stroke Association. Defining Optimal Brain Health in Adults: A Presidential Advisory From the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke 2017;48:e284-e303.