いったい卵は1日に何個まで食べてよいのか?

卵が目の敵にされてきたのは、卵には多量のコレステロールが含まれるからです(大きめの卵(50 gくらい)のコレステロール含有量は186 mg)。しかしながら、食事でとったコレステロールによって直ちに血中コレステロールが増加するわけではなく、卵は栄養価も高いわけですから「卵は悪者」と決めつけていいのでしょうか?米国で行われた6つの研究をまとめたメタアナリシスでは食事でとるコレステロールと卵は多いほど心血管系疾患と死亡率を増加させていました[Ref. 1] 。一方、中国の一般住民約46万人(平均年齢50.7歳)を中央値で8.9年追跡した結果、卵の摂取量が多いほど心血管系疾患全体、虚血性心疾患、脳卒中が減少していました[Ref. 2] 。特に目立った結果としては卵を毎日1個食べると、全く食べない場合と比べて、脳出血のリスクは26%も減少していたことでした。これは動物性タンパク質の摂取量が多いと脳出血が減少するという日本からの成績(久山町研究、Ozawa et al., Stroke2017;48:1478-148)と一致する結果と考えられます。この研究では動物性タンパク質摂取量は魚、次いで乳製品や肉、卵との関連が強く見られました。私たちアジア人は(今のところ)1日1個くらいの卵は食べてよいのではないでしょうか。

 

Ref. 1: Zhong VW, Van Horn L, Cornelis MC, Wilkins JT, Ning H, Carnethon MR, Greenland P, Mentz RJ, Tucker KL, Zhao L, Norwood AF, Lloyd-Jones DM, Allen NB. Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption With Incident Cardiovascular Disease and Mortality. JAMA 2019;321:1081-1095.

Ref. 2: Qin C, Lv J, Guo Y, Bian Z, Si J, Yang L, Chen Y, Zhou Y, Zhang H, Liu J, Chen J, Chen Z, Yu C, Li L; China Kadoorie Biobank Collaborative Group. Associations of egg consumption with cardiovascular disease in a cohort study of 0.5 million Chinese adults. Heart2018;104:1756-1763.