脳の健康のために (4) 脳の潜在性病変にまつわる話

無症候性脳梗塞はおおざっぱに言って、60歳代では10人に1人、80歳代では10人に3人ほど見つかります。無症候性脳梗塞の危険因子としては高血圧が主なもので、ほかに糖尿病や慢性腎臓病、飲酒、喫煙などがあり、一般的な脳卒中の危険因子と同じです。潜在性脳梗塞があると(脳卒中のみならず)将来的に認知症になりやすいので、予防対策が必要です。生殖活動に関連した生物学的特性によって女性は脳梗塞から保護されていますが、最終出産年齢は高いほど潜在性脳梗塞が多くなる傾向がありました。つまり多産は良いが、高齢出産は良くないということです。メタボリックシンドロームとは、たまった内臓脂肪(中心性肥満)から分泌される物質によりインスリン抵抗性が引き起こされ、虚血性心疾患や脳卒中などの原因となるものです。メタボリックシンドロームと炎症は、大きめの深部白質病変を引き起こす危険因子でもあります。高血圧を主な危険因子とし、広汎な白質病変と多発性ラクナ梗塞の合併を特徴とするビンスワンガー病は、脳血管性認知症のプロトタイプです。

 

実際は、症状を出す脳卒中より、(MRIにより初めて見つかる)潜在性虚血病変の方がはるかに多いのです。MRI健診によって、脳卒中予防対策を考えていきましょう!