人類は雑食性の霊長類

野菜や果物を多く食べると健康に良いと信じられています。野菜や果物の摂取量が多いと総死亡率と心血管疾患以外による死亡率が減少していました。375〜500グラム/日の野菜や果物の摂取量で総死亡率がもっとも減少しており、それ以上摂取しても効果は頭打ちでした。米国の女性看護師健康調査および男性医療従事者の追跡調査において、健康的な菜食(上位5分の1)では脳卒中のリスクが(下位5分の1と比較して)10%減少していました。この研究では、砂糖や脂肪、精製した穀物は不健康な菜食として、肉食を不健康な菜食とはしないなど、菜食の内容まで考慮しており、評価方法が合理的です。

 

英国での研究では、菜食主義者心筋梗塞などの虚血性心疾患が少なかったのですが、脳卒中(特に脳出血)が多いという結果でした。脳出血が増加した理由として、菜食主義では比較的大きな血管の動脈硬化(アテローマ硬化 [注])は予防できても、血管自体の栄養状態は悪くなるのかもしれません(個人的意見です)。人類の歴史の大部分(農耕以前の狩猟採取時代、約1万年前まで)において人類は多種多様な食べ物を食べて栄える、雑食性の霊長類だったので、そもそも特定の食物のみで生きていくようにはできていないのです。

 

注:中くらいから大きな動脈壁に脂質の沈着を特徴とする動脈硬化のこと