大豆か魚か、それともオメガ3サプリ?

久山町研究(注)では、食事の植物性タンパク質が多いと脳梗塞が減少し、動物性タンパク質が多いと脳出血が半分ほどに減少していました。植物性タンパク質摂取量は大豆を使用した食品との関連がもっとも強く、動物性タンパク質摂取量は魚、次いで乳製品や肉、卵との関連が強くみとめられました。魚の摂取量と脳卒中に関するメタアナリシスでは、魚の摂取量が多いと脳卒中リスクはわずかですが低下していました。魚の摂取による有益性はアジア地域、女性、(脳梗塞よりも)脳出血に対して顕著でした。10年以上追跡してもリスクは1割減少する程度なので、それほど大きな効果ではありませんが、魚を食べると脳卒中(特に脳出血)が減少するようです。
 

エイコサペンタエン酸(EPAドコサヘキサエン酸(DHAなどオメガ3多価不飽和脂肪酸(魚の脂)の心血管病予防効果をみたランダム化比較試験の結果が2018年に3つ報告されました。REDUCE-IT中性脂肪が高く、ほぼ全例にスタチンが処方されているヒトに、約4グラムもの大量のEPA濃縮化合物を投与し、心血管病や脳卒中が25-28%も減少しました。一方、大量投与ではないVITALASCENDでははっきりとした有効性は示されませんでした。大量投与でないとダメなのかというと、その後のSTRENGTH研究ではオメガ3大量投与でも無効でした。まとめるとオメガ3多価不飽和脂肪酸「サプリ」では、脳卒中心筋梗塞は予防できないとなってきています。

 
注:久山町研究は1961年より福岡市近隣の久山町において、九州大学第二内科(現、病態機能内科学)によって開始された一般住民を対象とした疫学研究です。当初は脳卒中や高血圧などの血管危険因子の研究が主目的でしたおめが