甘い罠—人工甘味料について

精製した炭水化物や糖質の有害性は明らかで、WHOは「糖」の摂取は総カロリーの10%以下とするように強く推奨しています。砂糖をひかえるために人工甘味料が開発されましたが、砂糖よりも人工甘味料の弊害の方がより大きいようです。フラミンガム研究での10年間の追跡調査では、サッカリンアセスルファムカリウム、アスパルタームなどの人工甘味料を加えた飲料の摂取が多いと脳梗塞アルツハイマー病のリスクはともに3倍弱まで上昇していました。女性の健康イニシアチブ研究でも、人工甘味料を加えた飲料が多いと、脳卒中脳梗塞、心血管系疾患、死亡率の全てが増加していました。人工甘味料は飲料以外にも、卓上の甘味料、乳製品などにも使用されます。オンラインで登録し、約10万人を最低2年間追跡したフランスの研究では、人工甘味料は心血管系疾患のリスクを9%、脳血管障害リスクを18%増大させました。

 

ゼロカロリーなのになぜ人工甘味料は危ないのでしょうか?人工甘味料は体重増加や体脂肪増加(注)、インスリン抵抗性を引き起こし、腸内細菌叢を乱すという報告があります。人工甘味料は危険です。

 

注:体重や体格指数の面では、加糖のものに比べて人工甘味料飲料の方が優れているというメタアナリシス(JAMA Network Open. 2022;5(3):e222092)もあることを追記しておきます。