論文の読み方を習得するためには、(医学)論文の書き方のレクチャーを受けるのが手っ取り早いと気がつきました。論文をどう書くかは基本的に著者の自由(と責任)ですが、ある程度の基本合意みたいなものがあり、私は佐川喜一さんの小冊子をいつも参考にしてきました。この小冊子(絶版)をもとに以下「(医学)論文の書き方」についてメモしてみます。
初めに考えること(それだけの苦労に値するか?)
どういう独創性がこの仕事にあるか ➡︎ 原著論文の重要性
仮説の検証が明確に織り込まれているか
時に明確な仮説なしに新知見が得られることもある(魚つり、探検的手法)
はっきりとした結論が出せるか
序文を書いてみよう
これまでの研究で未解決な点や弱点を指摘
そういう背景と自分の研究目的とが、どのようにかみ合うのかを説明
大切なのはこの2つを、できるだけ2つのパラグラフに煮つめること
パラグラフィング(段落の切り方)が重要
1つのパラグラフには1つのアイデア、これを表す主題文を最初か最後におく
方法をどう書くか
どのような研究を行なったか
対象と方法:研究材料は何か、何を測定したのか
どのようにデータを解析したのか:統計解析
統計解析については、ランダム化比較試験と多変量解析が分かれば(とりあえず)よい
結果の記載
もっとも明確でなくてはならないところ(量的には方法や考察より短い)
データと情報(=有用なもの)を混同しない
時制は過去形を原則とする
図表の多くは結果の本文と連動している
考察の書き方
パラグラフ(段落)の主題を段落の冒頭か末尾の主題文に的確に集約しておく
考察の第1パラグラフでは、結果の最重要知見を集約する(小括)
第2パラグラフ以下数段では、過去の類似研究の成果との異同を考察する
自分の研究の意義を明らかにしていく
最後から2つ目のパラグラフでは、研究の制約(または強み)について書く
文献の知識を示すことは必要だが、それをどう使うかの方が大切
論理的にきっちりと言えることと、推察の域を出ないことを明瞭に区別する
推察は1つ2つという程度にとどめる
最終パラグラフに結論をできるかぎり明解に述べる
生データ(研究ノート)の管理は重要
著者になる権利
(知的貢献をしていること、以下の少なくとも1つを成すこと)
研究仮説および研究計画の構築
決定的な方法論上の開発
解析計画またはデータ提示
正しい引用には「区別」と「出所明示」が必要(コピペ禁止!)
長くなりましたが、原著論文を理解するために、少しでも役にたてると幸いです。