脳を疲れさせない—西鉄ライオンズ編

西鉄ライオンズの強打者だった豊田泰光(1935〜2016)のことを小林秀雄が書いています。誰もが嫌がるスランプの時はどうするのかと問われた豊田は「よく食って、よく眠って、ただ、待っている」と答えたそうです [注2] 。「ただ、待つ」というそのたたずまいは、あたかも座禅や瞑想をしているかのようなおもむきがあります。

 

もうひとつ西鉄ライオンズの逸話から—《よく「三原は稲尾を酷使した」といわれ、実際耳にした。しかし、監督として選手を使うとき、むやみやたらな起用ができるものではない。(中略)酷使とは、心理的苦痛を伴った状態をいう。》とあります [注3] 。からだを使うプロ野球で、結果を出すためには「脳を疲れさせない」ことが重要なのです。

 

注1:スランプ 考えるヒント (小林秀雄、文春文庫)

注2:風雲の軌跡 (三原脩ベースボールマガジン社