ワインは脳に良い!?

ワインの定義は「ぶどうから作られるが、ぶどうジュースではないもの」(あくまで素人の個人的な意見)です。ぶどうに限らずジュースは甘くて均一で、全体主義国家のようです。一方、ワインはブレンドしなくても(フランスワインの強みはそのブレンド技術だそうですが----)、複雑性があり、作り手が違うと、予測不可能な多様性が生じます。高濃度のアルコールで、酔うことさえできればよいという「アルコール原理主義」とは正反対のものです。

 

軽度から中等度飲酒の観察研究(一般住民589人、平均80.1歳)では、総アルコール摂取量とワインの摂取量が全脳容積と正の相関がありました。ビールと蒸留酒には同様の関係はなかったので、保護効果は主としてワインによります(ワインを飲むと脳が萎縮しにくい!)。軽度から中等度飲酒による認知症予防や脳保護効果が、お酒の種類ではワインにあることがしばしば報告されています。システマティックレビューで見つけた16の研究のうち、12がメタアナリシス(定量評価)に用いることができました。ワインによる認知機能低下のリスクは0.72と約3割減でした。WHOが推奨している男性30グラム/日、女性20グラム/日以下の飲酒では認知機能低下のリスクは0.59(4割減のリスク)でした。赤ワインと白ワインの差は解析できませんでしたが、適量のワインに脳保護効果があることは(少なくとも観察研究からは)信頼性のある事実のようです。

 

ワインの脳萎縮軽減(保護)効果は、特に赤ワインに多く含まれる抗酸化物質(フラボノイドとポリフェノール)によると言われていますが、実はワインを飲むヒトの食生活や生活習慣が良いからかもしれません。本当にワインに脳保護効果があるのか、確認するためにはランダム化比較試験が必要です(が、実施は不可能でしょう)。ですから「適量のワインなら飲んだほうが良い」とは言えません。