生涯持続するモチベーションを形成することが教育の目的?

私は「教育」の専門家ではありませんが、一般住民の脳MRI健診のデータから、「教育」の効果についてどのように考えているか、私見を述べたいと思います。20162021年の受診者(509人、平均年齢70.1歳)の認知機能にかかわる因子について、構造方程式モデリング(注)により解析してみました。通常の認知機能検査(ミニメンタルテスト、Montreal Cognitive Assessment [MoCA] )と二重課題歩行、主観的認知機能障害の4変数から定義した潜在変数としての認知機能低下に関与するのは、年齢、海馬萎縮、少ない運動習慣(有酸素運動)でした。「教育」は認知機能との直接的相関はなく、アパシーを軽減もしくはやる気を増強し、運動習慣を介して認知機能を良くするように解釈されます。教育効果とは「脳トレ」ではなくて、モチベーションを上げることなのかもしれません。

注:構造方程式モデリングとは、因果関係や相関関係を簡単な図式で表現したパス図の図形ごと統計解析を行なう手法の一つ。