2023-01-01から1年間の記事一覧

脳の健康状態が良いということ

健康なまま長生きするためには何が必要でしょうか?「長生きできても、ボケたり、寝たきりはイヤだな」と誰もが思っています。年をとって必要なものはお金(と筋肉)でしょうか?「あたしが心配なのは、お金がない人生じゃなくて、やりたいことのない人生だ…

サプリは認知症を予防しないと思うのだけど----

サプリ、健康食品、認知症をキーワードとしてググってみると、実に様々な広告が出てきます。例えば、ご家族のケアには記憶力を維持する機能性表示食品の「〇〇〇〇EX」。/ 青魚のサラサラ成分DHAとEPAを600 mgも贅沢配合!ヨーロッパでその価値が研究されて…

「動かない」とヒトは病む2

動かないからボケたのか、ボケたから動かないのか?どちらか分かりにくいこともあります。身体活動度と認知症発症の関連をみた研究では、身体活動度が低下していると追跡開始から比較的すぐ(10年以内)に認知症を発症していましたが、追跡期間を通しての身…

ワインは脳に良い!?

ワインの定義は「ぶどうから作られるが、ぶどうジュースではないもの」(あくまで素人の個人的な意見)です。ぶどうに限らずジュースは甘くて均一で、全体主義国家のようです。一方、ワインはブレンドしなくても(フランスワインの強みはそのブレンド技術だ…

シュペルヴィエルの馬について

「動作」というタイトルのシュペルヴィエルの詩の始まりは—ひょいとうしろを向いたあの馬は / かつてまだ誰も見た事のないものを見た / 次いで彼はユーカリフスの木陰でまたくさを食い続けた。2つ段落を飛ばして、最後の4行は以下のようになります。それは…

ウソの健康情報への対処法

医療情報についての思い違いや非論理的解釈、迷信は医療に混乱をもたらします。これは以前からあった問題ですが、インターネット時代においては新たな局面を迎えたようです。ソーシャルメディアでは間違った情報を見つけることは容易で、ウソは真実よりも速…

生涯持続するモチベーションを形成することが教育の目的?

私は「教育」の専門家ではありませんが、一般住民の脳MRI健診のデータから、「教育」の効果についてどのように考えているか、私見を述べたいと思います。2016〜2021年の受診者(509人、平均年齢70.1歳)の認知機能にかかわる因子について、構造方程式モデリ…

健康なまま長生きするために

健康なまま長生きするためには何が必要でしょうか?「長生きできても、ボケたり、寝たきりはイヤだな」と誰もが思っています。年をとって必要なものはお金(と筋肉)でしょうか?「あたしが心配なのは、お金がない人生じゃなくて、やりたいことのない人生だ…

脳を疲れさせない—西鉄ライオンズ編

西鉄ライオンズの強打者だった豊田泰光(1935〜2016)のことを小林秀雄が書いています。誰もが嫌がるスランプの時はどうするのかと問われた豊田は「よく食って、よく眠って、ただ、待っている」と答えたそうです [注2] 。「ただ、待つ」というそのたたずまい…

「ダイエットには朝食が必須」ではない

ダイエットをするときには、朝食は必ず食べた方が良いといわれてきました。「ダイエットには朝食が必須」とするガイドラインもあります。曰く「朝食をぬくと、大事な栄養を失うかもしれないし、空腹のため間食が多くなる」といった調子です。しかし、朝食の…

(医学)論文の読み方

論文の読み方を習得するためには、(医学)論文の書き方のレクチャーを受けるのが手っ取り早いと気がつきました。論文をどう書くかは基本的に著者の自由(と責任)ですが、ある程度の基本合意みたいなものがあり、私は佐川喜一さんの小冊子をいつも参考にし…

健康的な生活習慣と健康寿命

世界的に寿命は伸びています。しかし、寿命(長生き)だけではなく、糖尿病や心血管疾患、ガンなどの疾患がない状態での寿命(健康寿命)をのばすことが重要です。疾患のない女性看護師と医療従事者の男性を30年前後追跡した米国での研究では、4〜5の良い生…

ダイエット失敗の本質2

ダイエットよりも大事なのは達成した減量を維持することです。これがむずかしくて、(ほとんど)全てのダイエットは失敗するのです。システマテイックレビューによると、減量を維持する方法は多様で、「家庭で健康的な食材をとる」「からだを動かす(身体活…

「ダイエットには朝食が必須」なのか?

間欠的絶食のダイエット効果が注目されています。絶食ではありませんが、朝食をぬくのはどうでしょうか?ダイエットをするときには、朝食はぬかない方が良いといわれてきました。「ダイエットには朝食が必須」とするガイドラインもあります。曰く「朝食をぬ…

健常高齢者の認知機能の評価

健常高齢者において比較的簡便に実施可能な認知機能スクリーニング検査として、ミニメンタルテストやMontreal Cognitive Assessment, Japanese Version(MoCA-J)があります。私たちの経験では、ミニメンタルテストやMoCA-Jの低得点と相関があったのは年齢と…

「その他の」認知機能検査

ミニメンタルテストは健常高齢者にとっては簡単すぎて(少々認知機能が低下していても、高得点がとれてします)、軽度のアルツハイマー病に対して感度が良くなく、最近ではより難易度の高いMontreal Cognitive Assessment(MoCA)などがよく使用されるように…

アルツハイマー病とビンスワンガー病

脳血管性認知症がはっきりとした臨床単位として取り上げられたのは、1894年のドイツ精神医学会年次総会でした。この学会において、ビンスワンガーはのちにビンスワンガー病と呼ばれることになる「皮質下脳炎」および「動脈硬化性脳変性」の二つの病型を提示…

白質病変の迷走

脳MRI検査の出始めのころには、T2強調画像で「白く光る」病変に目が眩くらんでいました。白く光ってハッキリ見えるのですから、気になるのは仕方ありません。しかしT2強調画像で同じように「白く光る」病変でも、T1強調画像で明らかに「黒く抜ける」ものと、…

MRIで初めてみつかる「かくれ」脳梗塞

多くの疫学研究から心血管系疾患の危険因子や認知症になりやすくする(悪い)生活習慣などが分かってきました。しかしながら、脳卒中を発症していないヒトにも潜在性脳梗塞は一定数存在しますし、たまたま症状がないだけで動脈硬化の程度は脳卒中患者と同じ…