サウナは認知症を予防する!?

伝統的なフィンランドのサウナは、80〜100℃と高温で、湿度は10〜20%と乾燥していて、時に熱した岩に水をかけて湿度を上昇させるといったものです。サウナに頻回に入るヒトには心臓突然死や死亡に至る虚血性心疾患と心血管系疾患が少ないことが報告されています [Ref. 1] 。

 

サウナは認知症をも予防するのではないかという論文を、同上のフィンランドの研究者たちが発表しました [Ref. 2] 。フィンランドの男性(42-60歳)2,315人を中央値で20.7年追跡し、その間に204人の新規認知症—うち123人はアルツハイマー病—の発症がありました。週に4〜7回サウナに入るヒト(201人)では認知症およびアルツハイマー病となるリスクが有意に低くなっていました [注1] 。観察研究なので、因果関係の解釈には慎重でなくてはいけませんが、認知症予防という観点からも有望な結果です。

 

より重要な決定は、会議室よりサウナで、下される [注2] —そういえばブルースブラザーズのコンサートもサウナで決まったのでした。

 

注1:4〜7回/週のサウナ利用者のハザード比と95%信頼区間は、認知症では0.34 (0.16—0.71)、アルツハイマー病では0.35 (0.14—0.90)でした(週1回のヒトとの比較)。年齢、体格指数、収縮期血圧、LDLコレステロール、喫煙、飲酒量、心筋梗塞の既往、2型糖尿病、安静時心拍数で多変量調整していますが、以前の論文 [Ref. 1] ではさらに3つの共変量(心肺機能、身体活動度、社会経済的指標)を同様のモデルに含めています。今回、この3つが考慮されていない理由は不明です。

 

注2:https://enjoy-the-earth.com/travel-diary/saunainfinland/

 

Ref. 1: Laukkanen T, Kunutsor S, Kauhanen J, Laukkanen JA. Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer's disease in middle-aged Finnish men. Age Ageing 2017;46:245-249.

サウナの入浴回数は平均週2.1回、入浴時間は平均14.2分、温度は平均78.9℃

 

Ref. 2: Laukkanen T, Khan H, Zaccardi F, Laukkanen JA. Association between sauna bathing and fatal cardiovascular and all-cause mortality events. JAMA Intern Med 2015;175:542-548.