ゆるやかな糖質制限

糖質(炭水化物)制限によるダイエットの根拠となったものの一つに、イスラエルでの「どのような食事が肥満の解消に有効か?」というランダム化比較試験があります(参加者の平均体重は91.4 kg、86%は男性)。2年間での体重減少は、低脂肪食で2.9 kg 、カロリー制限をした地中海食で4.4 kg、炭水化物制限食で4.7 kgでした。炭水化物制限食は、総カロリーや脂肪の摂取を制限しないにもかかわらず、初期効果は凄まじかったのですが、数ヶ月後に軽くリバウンドし、最終的(2年後)には地中海食と大きな差はありませんでした。てっとりばやく体重を減らそうとするなら糖質制限が効果的という結果ですが、長い目でみたら地中海食の方が良さそうです。

 

精製された「白い」炭水化物は健康に悪く、精製されていない「茶色の」炭水化物には食物繊維やビタミンB、微量ミネラルが豊富で生活習慣病を予防すると考えられています。我々日本人の主食である白米は精製された「白い」炭水化物です。最近の論文によると、北米、ヨーロッパ、南米、アフリカ、中東、南アジア、東南アジア、中国など21カ国での調査では、精製した穀物の摂取が多いと予想通り死亡率や心血管疾患、脳卒中の発症が増加するものの、白米摂取量が増えると死亡率は減少しており、白米は健康に良いことが示唆されました。これまで白米が心血管疾患を予防するのか、増加させるのか、結果は一致していません。今後、引き続きみていく必要があります。