タバコは本数が少なくても危険!

有名な久山町研究では「喫煙は脳卒中のリスクを下げる」と聞いたことがあります。脳卒中になる前に(なることもできずに)肺がんや心筋梗塞で死んでしまうからというこのとのようです [注1] 。

 

55の論文(141のコホート研究)のメタアナリシス [Ref. 1] によると、1日1本のタバコを毎日吸ったとした時の虚血性心疾患のリスクは男性で48%、女性で57%、脳卒中のリスクは男性で25%、女性で31%増大し(非喫煙者との比較)、女性において悪影響が大きいという解析結果が示されています。1日20本の喫煙の場合のリスク過剰分の40〜50%が1日1本の喫煙でも生じるので、タバコは本数が少なければ良いとはとても言えない結果でした。

 

肺がんのリスクはタバコの本数と比例して(直線的に)増大します。一方、上記のメタアナリシスで示されたように虚血性心疾患や脳卒中のリスクは少量の喫煙でかなり増加して、その後頭打ちになります。がんと循環器系疾患では、喫煙による悪影響の様相が—特に喫煙量に関して—かなり異なるということは頭に入れておいた方が良いようです。

 

注1:論文となったものでは、やはり喫煙は脳卒中のリスクとなるようです。

Hata J, Doi Y, Ninomiya T, Fukuhara M, Ikeda F, Mukai N, Hirakawa Y, Kitazono T, Kiyohara Y. Combined effects of smoking and hypercholesterolemia on the risk of stroke and coronary heart disease in Japanese: the Hisayama study. Cerebrovasc Dis 2011;31:477-484.

 

Ref. 1: Hackshaw A, Morris JK, Boniface S, Tang JL, Milenković D. Low cigarette consumption and risk of coronary heart disease and stroke: meta-analysis of 141 cohort studies in 55 study reports. BMJ 2018;360:j5855.