卵は1日に何個まで食べてよいのか?

 卵には多量のコレステロールが含まれるため(中くらいの大きさの卵のコレステロール含有量は約180ミリグラム)、卵は目のかたきにされてきました。ところが、食事でとったコレステロールによって血中コレステロールが増加するわけではなく、栄養価も高いのに「卵は悪者」と決めつけていいのでしょうか?

 

少し前のメタアナリシスでは、一般住民(糖尿病は含まない)では虚血性心疾患や脳卒中と卵の摂取量は関係ありませんでした。しかし、最近の米国で行われた6つの研究のメタアナリシスでは、食事のコレステロールや卵が多いと心血管系疾患と死亡率が増加しました。逆に中国の一般住民では、卵の摂取量が多いほど虚血性心疾患と脳卒中が減少していました。特に注目すべきは卵の消費が多いと脳出血のリスクが25-26%も減少したことです。さらに最新のメタアナリシスでは、週に4個程度の適度な卵の摂取なら心血管疾患は減少することが示されました。一方、心不全は1日1個以上の卵の摂取で増加しました。このメタアナリシスでは脳出血脳梗塞も卵の摂取とは無関係でした。以上、メタアナリシスでさえ報告される毎に微妙に結論が変化するような状況ですが、1日1個程度の適度な卵の消費はことさら制限する必要はないでしょう。