コーヒーと脳の健康

ヨーロッパ10カ国での追跡調査では、コーヒーを多く飲むと死亡率が1割ほど減少しました。脳卒中による死亡も、コーヒー多飲群(特に女性)で少ないことが分かりました。多人種からなる集団での報告でも、コーヒーを1日2-3杯以上飲むと全死亡と脳卒中による死亡は減少していました。2つの研究とも結果は通常のコーヒーでもカフェインレスコーヒーでも同様で、コーヒーの有益作用はカフェインによるものではありません。メタアナリシスでもコーヒーは脳卒中脳梗塞)のリスクを下げていました。2021年の欧州心臓病学会のガイドラインでは、1日3〜4杯程度の適度なコーヒーは有害ではなく、おそらく有益であるとされています。さらに最近の研究では、豆をひいたコーヒーやインスタントコーヒー、デカフェコーヒーのどのタイプのコーヒーでも、特に1日2〜3杯のコーヒーが心血管系疾患と死亡率を減少させていました。心房細動などの不整脈に関しては、豆をひいたコーヒーやインスタントコーヒーで減少していましたが、デカフェコーヒーではまったく減少していませんでした。

 

コーヒーは複雑な成分の集合体です。カフェインだけがコーヒーの効果を発揮する成分ではありませんが、カフェインは眠気や疲労感を軽減し、痛みを軽くする効果がありますが、睡眠の質を低下させ、不安感を生じることもあります。カフェイン摂取量が1.2グラムを超えると毒性が出現し、1014グラムが致死量です。カフェインの錠剤やサプリ、カフェインを含むエネルギードリンクなどの大量摂取は非常に危険です。カフェイン(コーヒー)は健康に良い効果があります。短期的にはカフェインは血圧を上昇させることがありますが、長期的には血圧は変動せず、高血圧の発症にも関与しません。また、カフェインで心房細動が増加することもありません。ただし、ペーパーフィルターを用いる場合と比べて、コーヒーを煮て抽出すると血清コレステロールが増加することが分かっています